いつの間にか生まれ、メディアを通して広がる新語・流行語。すでに使われなくなった言葉もあれば、今では定着した言葉も。99年前に刊行された「週刊朝日」でも、多くの新語・流行語が記事に並んだ。どんなものがあったのか、振り返る。
朝鮮戦争特需もあり景気が上向きになると、新商売や新商品、新たなレジャーが続々と登場。映画や音楽業界など、ショービジネスの世界やスポーツ界からはスターも誕生した。新語・流行語も次々と誕生してゆく。こうした傾向をつかみ、週刊朝日は世相を表す言葉を中心に紹介するコーナーを設けた。たとえば55年の誌面には、言葉から世相を見る「ロータリー」、女性向けの話題を紹介する「婦人のメモ」、風俗時評「たちばなし」などがあった。
週刊朝日の編集長が生み出した新語がある。「トップ屋」という言葉だ。このころ週刊誌編集部ではフリーの書き手に巻頭記事(トップ記事)の取材・執筆を依頼することが多くなり、当時の編集長・扇谷正造が彼らをトップ屋と呼び始めた。その後、トップ屋を描く映画やテレビドラマが世に広まった。
55年末には、現代で言う「流行語」そのものが特集になる。<その言葉の中に、今年の日本が象徴されているような新語。そういう新語から今年の日本の現実を分析してみよう>という記者座談会が掲載された。
そこでは本誌がいち早く取り上げた新語「W+M時代」を最も時代を表した言葉として取り上げている。「W+M時代」とはWが女性、Mが男性のことで、女性の男性化と男性の女性化を表す造語で、獅子文六の『青春怪談』が映画化されるときに映画会社が新聞広告で「M+W」としたのが発端。座談会ではこう語られている。
<記者A 戦後、男の地位が弱くなり、女の地位が相対的に上って来た。第一、経済力がね、そこから言語や服装が変り、最近は男が赤いものを身につけたり、逆に女が妙なトレアドル・パンツ(編集部注:闘牛士のズボンをまねた形のもの)なんていうのをはいたりしてね、いろんな面で両方の性が接近するというか、ミックスされて来た。(中略)