その後、ロッテは西村徳文の二塁打などで反撃し、4対6まで追い上げたが、5回、園川が再び香川に3ランを浴び、6回にも門田に2ランを食らうなど、“一発病”が止まらない。

 それでも有藤監督はリリーフを送らなかったため、さらし者になった園川は、159球、被本塁打4の13失点完投。試合も5対13と大敗したが、園川はこの屈辱をバネに、6日後の日本ハム戦でプロ初完封を記録している。

 ワースト記録にはわずかに及ばないものの、09年にはオリックス・中山慎也も12失点で完投している。

 5月1日の楽天戦、1、2回を無失点に抑えた中山だったが、3回に7長短打、2四死球と乱れに乱れ、一挙8点を献上。だが、大石大二郎監督は「点を取られたからといって、早めに降ろしていたら、今までと一緒。投げつづけることで、何かを見つけてくれたら」と完投させた。

 中山は最終的に148球、被安打15の12失点。相手の野村克也監督を「サイタ、サイタ、白星咲いた」(開幕以来チーム最多の15安打にひっかけたシャレ)と喜ばせる結果となった。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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