

東日本大震災から10年。歌の力で復興を支援する「復興支援音楽祭」は、コロナ禍の今年は、東京と福島をオンラインで結んで行われる。 AERA 2021年3月8日号から。
【写真】1月、出演する高校生たちとリモートで交流をしたリトグリ
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「どういうふうに仕上がるのか想像がつかないので、みんなでワクワクしています」
2月下旬、福島県郡山市の郡山女子大学で行われた収録に挑んだ日大東北高校合唱部の部長、2年生の石橋瑠々子(るるこ)さんは、復興支援音楽祭への思いを、目を輝かせて話した。
東日本大震災が起きた2011年3月11日、地震と津波、そして東京電力福島第一原発の事故によって、東北は大きなダメージを受けた。今もさまざまな形で復興は進んでいるが、その復興を歌の力で後押しするのが「復興支援音楽祭 歌の絆プロジェクト」(主催・三菱商事、朝日新聞社、福島放送)だ。14年に始まり、今年で7回目。これまでも東北の高校生らとスペシャルゲストが、歌や踊りを披露してきた。
今年出演するのは日大東北高校のほか郡山東高校、郡山女子大学附属高校、安積(あさか)高校、安積黎明高校と、「音楽都市郡山」を代表する五つの高校の合唱部員約100人。そしてスペシャルゲストは、人気ボーカルグループ「Little Glee Monster(リトグリ)」だ。
ただし、今年の音楽祭は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、高校生の合唱を事前に収録し、リトグリのライブとともにネットで配信する。
■マスク着用で臨んだ
高校生は自由曲を1曲ずつと5高による合唱「群青」、リトグリと共演する「好きだ。」と「明日へ」の2曲、計4曲を歌う。群青とリトグリの2曲は各校別々に収録し、後で音声を重ねて合唱の形にする。収録には各校が時間を空けて集まり、歌う時は一人ひとり間隔をあけ、マスクを着用して臨んだ。
実は、昨年の復興支援音楽祭もリトグリを招いて仙台で開催される予定だった。しかしコロナが直撃し、音楽祭は中止に。リトグリは事前に地元の高校生とも交流していただけに、「すごく悲しかった」と全員が振り返る。今年は、満を持してのオンライン開催だ。