落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「SDGs」。
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反省しています。自分が世の中をいかにぼんやりと見ているのかがわかりました。
そもそも「そんなに流行ってるのか?」と不思議だった。ここ数年注目してる人も多いと聞いていたが、その勢いは衰えることなく最近になってまた増しているのではないか。
街中でも、電車の中でも、胸に虹色のピンバッジをつけてる人をよく見かける。どちらかというと意識高そうなサラリーマンが胸に誇らしげにつけている。そんな層にも支持されてるのか。そもそもピンバッジみたいなグッズまで売られてるとは知らなんだ。案外と手広い。でも、わざわざ普段から胸につけてまでアピールするものなのか。
と、思ってたらニュースで観た政治家までつけていた。しかも政府関係者。おい、そんな権力を持った人がそこまで肩入れしていいの? まずくない? いや、それどころか某放送局の社長が、他局のバッジを胸にしている。東京ローカル局のマスコットを嬉しそうに身につけてるなんてどうなってんだろう?
……なんてなことをボンヤリと考えていた私に出された今回のお題は『SDGs』。「あー、あのちょっと前にデモしてた学生の集まりか……でも話題的に古くないかい?」と思って検索してみると、『SDGs』とは「持続可能な開発目標」とありました。『SEALDs』は「自由と民主主義のための学生緊急行動」だそうだ。奥田愛基。字面の雰囲気だけでした。
街ゆく人やお偉方が胸につけているレインボーカラーのリングのバッジ、あれは東京MXテレビのマスコットキャラクター『ゆめらいおん』ではなかったのね。丸いリング状の七色のたてがみとつぶらな瞳で微笑んでるライオンと、『SDGs』のバッジ。私には同じに見えました。バカ面で鼻ほじりながら「みんなMXテレビすきなんだなー」と感心してたのに、頭から冷水をかけられたようです。