菅首相が山田氏を更迭できなかったのは、菅政権の目玉政策である携帯電話料金の引き下げのキーパーソンである谷脇氏に影響が及ぶのを恐れたのも一因だと言われている。
首相が寵愛した2人の官僚の不祥事。総務官僚の一人は、今後も不祥事が表沙汰になるのではないか、と予想する。
「菅首相は官房長官時代から内閣人事局の制度を盾に霞が関人事に介入し、政権の考えに否定的、非協力的な職員は、キャリアであっても左遷する人事を繰り返してきた。結果、今ではどの省庁も上(官邸)に上げる情報は政権に都合のいいことばかり。この風潮に嫌気が差し、辟易としているキャリアも口にはしないだけで確実にいる。菅政権への不信は霞が関にもマグマのようにたまっています」
■「菅に菅無し」が弱点に
山田氏の更迭を決断できず後手に回った菅首相。このところ、あらゆる局面で後手後手に回る姿が目に余る。
1日、衆議院予算委員会で菅首相と対峙した立憲・辻元議員は「緊急事態宣言の解除」についてこう質問した。
「また第4波が来て緊急事態宣言を出すような事態になったら(中略)場合によっては総理の進退が懸かるくらいの責任が生じる。それくらいの覚悟で決断されることでよろしいですね」
菅首相はこう回答した。
「どうするかは国のルールで決まっていまして、専門家の皆さんから構成される諮問委員会の意見を聞いた上で、最後は私が内閣総理大臣として判断をいたします」
他人任せとも聞こえる答弁に野党席から不満の声が噴出。この場で解除の是非に触れなかった菅首相は結局5日、解除の延期に追い込まれた。
東京五輪の開催についても、参加国の半数にあたる101カ国で変異ウイルスが広がっていることに関連し、辻元議員が「もう現時点で海外からの観客を入れるのは難しいと思うんですけど」と指摘したのに対し、菅首相はこう答えた。
「東京大会については安心、安全の大会を実現するために感染対策というものを最重要に考えています。(中略)いずれにしても、東京都と大会組織委員会と緊密に連携をしながら、しっかり準備を進めていきたい、このように思います」