「一方、“現在の家事分担に不満があるか”という質問を全員にすると、“ある”と答えた男性は、全体の3%でしたが、女性は26%。先の質問で“夫婦関係に満足していない”と回答した女性にしぼると、約半数が、家事分担に不満を抱えていることが分かりました」
これらの結果から、コロナ禍で家事分担が進んだどころか、夫婦一緒の時間が増えて、女性の家事の負担感も増し、その負担感は夫婦仲の悪化につながりやすくなっていると、梅津さんは分析する。
■夫婦関係が悪化するとお金のやりくりも困難に?
26%という数字を、「少ない」とみる人もいるかもしれない。この点は世代の違いを加味する必要があるようだ。
「調査対象の60~70代の女性には、“自分が家事をするのは当然” “少し手伝ってくれるだけでうれしい”と考える人が少なからずいます。しかし今の50代では、家事分担は50:50にすべきだという価値観を持っている人が多いようです」
50代以下を対象に調査した場合は、不満を持つ女性はもっと多いと考えられる。
では、互いに不満を抱えたまま生活を続けると、どうなってしまうのだろうか。梅津さんは数多くの取材経験から、「家庭内別居もある」と話す。
「二人とも家事を放棄してしまい、家の中が荒れ果てているご家庭も目にしました。実は夫婦仲が悪くなると、互いのへそくり額が増えるという調査結果があります。“この人といつまで一緒にいるか分からない”と思うと、今後に備えてお金をもっていたくなるようです。不仲の人の平均へそくり額は、1千万円を超えています」
これでは、定年後の計画的な資産運用なども無理な話だ。
コロナ禍の自粛期間が、定年後の生活の予行演習になったという夫婦も多いのではないか。この期間中に相手に不満がたまったという人は、今のうちに対策を講じるべきだろう。