しかも意外に女性にも反対派がいるのだ。現状維持、つまり男たちの作り上げた今の社会の組織やら体制やらに疑いをもたないという人たちが……。
遅まきながら、森前オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の発言以来、女性の登用も進んだかに見えるのだが。
いや待てよ、男性が女性に替わる数合わせではいけない。男の土俵に乗って男たちに都合のいい優秀な女性が抜擢されただけでは意味がない。
前内閣広報官の山田真貴子さんしかり、できる女性が男たちに都合よく使われることではなかろう。女が活躍するということは、経済効率に価値を置く価値観を、命や自然環境を守ることを重視する価値観に変えていくものであって欲しいのだ。
※週刊朝日 2021年3月26日号
■下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。主な著書に『家族という病』『極上の孤独』『年齢は捨てなさい』ほか多数