セクハラも横行している。かつて94年の米朝枠組み合意をまとめた姜錫柱(カンソクチュ)副首相と生前、平壌で会食した専門家によれば、姜氏が突然、女性従業員の胸を触って、「大きくなったな」と笑う場面に出くわして驚いたという。従業員は怒らず、「本当かどうか、確かめてみますか」とかわしていた。
■セクハラは我慢する
1996年と2003年にそれぞれ朝鮮新報平壌特派員を務めるなど、北朝鮮での長い取材経験がある、週刊金曜日編集部の文聖姫(ムンソンヒ)さんも、特派員時代、セクハラに遭ったという。文さんは「文句を言ったら、不利益を受けるかもしれません。小さいときから、我慢するものだと教えられているのでしょう」と語る。文さんは訪朝前、母親から「女性なんだから、会食時にはお酒を控えなさい」と助言されたという。(朝日新聞編集委員・牧野愛博)
※AERA 2021年3月29日号より抜粋