コンブチャを置くバーもあり、「お酒のようにノンアルドリンクで料理を楽しみたい。免疫アップにつながるならなお良し」という人の集客に一役買っているという。
バーといえば、「イコールお酒を飲む場所」では今後なくなるかもしれない。昨年3月、東京駅近くに開店した「Low−Non−Bar」は、日本初の本格ロー/ノンアルコールバー。オーナーでバーテンダーの宮澤英治さんはほかに6店舗のバーを経営するが、宮澤さん自身は健康のために4年前にお酒をやめた。しかし、バーそのものは好き。バーテンダーとおしゃべりをし、一日の疲れを癒やせる場所がバー。だれもが楽しめるバーを作りたいと考えた。早くも飲めない・飲まない人の止まり木として話題になっている。
「世界的に見て、低アルコール志向は強くある。ロー/ノンアルドリンクを勉強していかなければならないと考えているバーテンダーも多い」
今後はさらにロー/ノンアルドリンクをそろえるバーが出てくるだろうとみている。
■アルコール依存も減?
こう見てくると、ゲコノミクスは健康志向が支えているとも言える。一度飲まなくなると、健康にもいい、それなら飲まない、飲んでもノンアルで、という循環が生まれているようだ。
アルコール依存症治療に長年取り組む「大船榎本クリニック」精神保健福祉部長の斉藤章佳さんは「お酒はキング・オブ・ドラッグ。身体的・社会的損失の影響があらゆるドラッグの中で最も大きい」と指摘する。コロナでゲコノミクスの市場拡大が急激に進み、ゲコノミストばかりかノミストも飲みたくなるノンアルドリンクが増えれば、アルコール依存症といった問題も減っていく可能性がある。
1年365日最低ワイン1日1本消費の記者としては……。うーん、やっぱりアルコール入りがいいな。(ライター・羽根田真智)
※AERA 2021年3月29日号