毎日飲み歩いていた、あの日々は何だったのだろう。コロナ禍で飲み屋から遠ざかったら、朝もスッキリ。そんな人が増え、お酒に代わってノンアル市場が隆盛だ。AERA 2021年3月29日号に掲載された記事で、ノンアル市場の動きを追った。
【写真】最高級版は税込み66万円! ロイヤルブルーティーとは?
* * *
財布の中身がほとんど減らない。考えられる理由は一つ。飲みに行かなくなったからだ。
出版社勤務の男性(45)は、以前はほぼ毎晩のように銀座や六本木のバーで飲んでいた。ところが昨春の緊急事態宣言以降、会社から「原則、会食禁止」という通達が出され、バー通いを自粛。妻と2人暮らしの自宅ではお酒を飲まないため、飲酒量がほぼゼロに。
代わりにハマったのは、オンラインジム。約1年で体重はトータル15キロ減った。スカッと汗をかくのが気持ちよく、お酒なしで迎えた朝の爽快感は何物にも代え難い。飲まない日が続くにつれ、「お酒はもう卒業かな」と思うようになった。行きつけだったバーがどうなったか気になるものの、夜、飲みに出かける気がしない。
総務省の家計調査によると、コロナ禍で外食での飲酒代が激減。最初の緊急事態宣言が出た2020年4月は前年同月比90.3%減。「Go To キャンペーン」があった10月、11月も、前年同月比マイナスは変わらずだった。
■ノミストも新規顧客に
「コロナで飲み会や会食が敬遠され、お酒を飲まない動きが急加速した。アフターコロナになっても、一度変わった習慣は元に戻らないでしょう」
こう指摘するのは、資産運用会社「レオス・キャピタルワークス」社長の藤野英人さん。下戸である藤野さんは、コロナ以前から「下戸市場」に関心を持っていた。というのも、厚生労働省の「平成30年国民健康・栄養調査報告」では「お酒を飲まない(飲めない)」「やめた」「ほとんど飲まない」人が約56%。しかし世間ではお酒を飲まないことをネガティブに捉える傾向が強く、お酒を飲まない人向けの商品やサービスはほぼ未開拓だったからだ。