ソフトバンクの上林誠知外野手が26日の開幕戦の出場選手登録メンバーから外れ、今シーズンは2軍スタートとなった。走攻守が三拍子そろい将来のスター候補と目された逸材も、ここ2年は不振にあえいでおり、正念場のシーズンとなりそうだ。

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 走攻守が三拍子そろった好素材として期待された上林は、入団4年目の2017年にブレーク。134試合に出場し、規定打席にも到達して108安打、13本塁打を放った。同年秋には東京五輪を見据え、侍ジャパン入りを果たすなど、将来のスター候補と評価されるようになった。

 翌18年には全試合出場を果たし149安打、22本塁打と順調に数字を伸ばした。さらにプロ野球で歴代4位となるシーズン14三塁打を記録し、野球ファンを驚かせた。

「打力だけではなく、強肩を誇る守備力も球団の外野手で一番だと、首脳陣から評価されていました。本来なら今ごろは主軸を打ち、ゴールデングラブ賞を毎年争っているはずの選手でした」(全国紙スポーツ担当記者)

 だが、19~20年はともに打率1割台と低迷。

 復活を期した今季は、昨年の日本シリーズでMVPを獲得した栗原陵矢と右翼の開幕スタメンを争う形となったが、レギュラーはおろか、よもやの2軍スタートとなった。

「オープン戦の序盤は打撃が絶好調で猛アピールしたものの、終盤に一気に調子が落ちました。特に、3月19日からの対広島3連戦で無安打の5三振。打ちに行ったストライクゾーンのボールをミスショットし、低めの変化球を簡単に空振りしてしまうシーンが目立ち、首脳陣も2軍行きを決断しました。ライバルの栗原がオープン戦で打率1割台と不振なのに、それ以上に悪いところを見せてしまったという印象です」(同)

 在京球団の元スコアラーは、上林の伸び悩みをこう分析する。

「一軍で活躍しだしたころから、打席では積極的にどんどん振ってくる選手でしたが、ボール球に手を出す癖があり、三振が多く四球が少ないという欠点がありました。ある程度、粗っぽさに目をつぶって長打力を生かしていくのか、確実性を重視して巧打者タイプに育てていくのか注目して見ていましたが、現状ではそのどちらにもなりきれず迷っているように見えます」

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「便利屋」としては使わない