「そうやって感じてもらうのは、自信になります。同じフォームからスピードやコースに変化をつけてレパートリーを増やそうと練習してきました。ただ、まだ決定率が低いしミスもある。トップチームの石井・村上組はやっぱりミスが少ないのがすごいところ。そこを越えていきたいですね」
切れ味抜群のサーブの源泉になっているのは、「3歳から水泳をやっていた」という関節の柔らかさ。「しなやかでとても器用」と佐伯も太鼓判を押す村上の細やかな技術力は、相手を騙すことが鍵となるビーチバレーにとって大きな武器だ。
そんな村上が最も影響を受けてきたというプレーヤーは、大学時代にペアを組んでトップツアーに出場していた元日本代表の楠原千秋。2度のオリンピック出場(2004年アテネ、2008年北京)を果たしたオリンピアンだ。
「千秋さんは圧倒的に技術力が高くて、ショットは本当に絶妙でした。よくマネをして打っていましたね。だからなのか、私、ショットを打つのが大好きです(笑)。だけど、そればかりではなく、今の課題はフィジカルトレーニングを強化して、海外選手にも負けないパワーをつけていくこと。力強いプレーも身につけていきたい」
偉大なる先輩たちに大切に育てられてきたビッグベイビー。もっぱらの趣味は、「寝ることと食べること(笑)」だと言う。そんな村上にも最近、私生活に変化が訪れた。
「ずっと、すっぴん(素顔)だったんですけど、最近は人前に出る時はメイクするようになりました。佳穗さんが人前に出る時は礼儀としてファンデーションは塗らなきゃと言っていたことがあって、私も見習って意識するようになりました。妹が美容師なので教えてもらっています(笑)。それに私たちのチーム名「CARINODEA」(カリノデア)は『誰よりも強く、可愛く』という意味なので、だからそっちの面でもがんばりたいと思っています!」
さらなる成長のカギは「勝負スイッチをいい方向に使うこと」。ゆっくりと大人の階段をのぼってきた村上礼華。真のアスリートとして目覚めの時は刻々と近づいている。(文・吉田亜衣)
●プロフィール
吉田亜衣/1976年生まれ。埼玉県出身。ビーチバレーボールスタイル編集長、ライター。バレーボール専門誌の編集 (1998年~2007年)を経て、2009年に日本で唯一のビーチバレーボール専門誌「ビーチバレーボールスタイル」を創刊。オリンピック、世界選手権を始め、ビーチバレーボールのトップシーンを取材し続け、国内ではジュニアから一般の現場まで足を運ぶ。2021年4月、ビーチバレーボールスタイルWEBサイトをリニューアルオープン予定。