西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、今季のパ・リーグ各球団の戦力分析を行った。
【写真】キャンプ初日、選手に語りかける楽天の石井一久・新監督
* * *
プロ野球がようやく開幕した。今年は九回打ち切りが決まった。このことを考えると、延長戦を考えなくていいから、「救援陣が多少劣っても……」という考えも出てくるだろうが、そもそも同点の場面では、表の攻撃でないかぎりは、クローザーは九回に投げてしまうことが多い。「9回の中でどう勝ちきるか」と考えた場合、七回以降の投手が安定しているところは、逆に計算しやすくなる。
例えば、クローザーは同点の場面の九回にちゅうちょなくつぎ込める。延長になったら2イニング目……などといったことは考えなくていい。その意味で、質、量ともに4年連続日本一のソフトバンクの絶対的優位は動かないだろう。1位予想に、このチームを外すことはできない。
どこが止める可能性があるか、と考えた場合は楽天を推したい。救援陣はブセニッツがセットアッパー、守護神が松井裕樹といるが、この2人が故障をした時にやりくりは厳しくなる。ただ、この2人の負担を大幅に軽減できるのが先発陣となろう。
田中将大が復帰したほか、開幕投手を務める涌井、岸、則本昂と他球団ならエースになれる投手が4人もいる。4人ともコンディションが万全なら七回までキッチリ投げきってくれるだろう。さらに田中はオープン戦でも証明したように球数が少ない。完投も相当増えるだろう。松井、ブセニッツは余裕を持って使っていきたいところ。先発陣が長いイニングを投げ、補完できるようになれば、ソフトバンクに十分対抗していける。
さらにこの先発4枚はシーズン終盤になって、負けられない試合が続いた時に、必ず強みとなる。誰を出しても勝てる可能性があるわけだから。石井一久新監督も投手陣をいかに疲弊させずに回すかは十分に考えていると思う。
私の古巣でもある西武だが、投手陣の薄さは解消されていない。19年のリーグ優勝時のように森、山川の2人がフル回転することが条件になる。その上で開幕投手を務める高橋光成が本当のエースになれるかどうか。六回までで降板する試合が多くなるようでは、苦しい。