「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】LiSAさんから子どもたちへ、卒業証書をプレゼントしました
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デジタル化が進む中でも、履歴書や役所への提出書類のように「紙」が必要な時もあります。その需要にお応えするために、ローソンでは店内にマルチコピー機を設置。免許証のコピーやシール紙印刷のほか、住民票の写しを発行することもできます。
このコピー機で何かわくわくすることができないかと、今春に卒業した子どもたちを対象に「鬼滅の刃」でもおなじみのアーティスト、LiSAさんのメッセージ入り卒業証書の無料印刷サービスを実施しました。ローソン店内に設置しているコピー機から無料で印刷でき、実施1カ月間の印刷総数は2万枚。大変ご好評いただきました。
コロナ禍に見舞われた2020年は社会が変化し、子どもたちにも大きな影響がありました。学校は一斉休校になり、遠足や修学旅行などの行事ごとも中止になりました。子どもは密になるのが仕事で、友だちと笑ったり泣いたり怒ったりしながら、一体感を高めていく。それなのに、みんなで何かを成し遂げる行事が根こそぎなくなってしまった。とりわけ最終学年を過ごしていた子どもたちにとっては、悔しい1年だったのではと心配でした。
コロナ感染拡大の中、ローソンでは子どもたちをサポートしてきました。休校期間には学童保育におにぎりを、クリスマスにはフードバンクを通じてケーキをお届けしたりしました。
卒業証書もその取り組みの一つです。大人になったとき、「この紙なんだっけ?」「そういえばコロナで大変だったときに、LiSAさんからメッセージをもらったんだった!」と振り返ってもらえるような思い出の一つになるのでしたら、私たちにとってうれしいことです。
今年度も子どもたちの笑顔につながる取り組みを継続したいと考えています。ご卒業、おめでとうございます。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2021年4月12日号