4位は東大寺学園(奈良)の62.7%、5位は西大和学園(奈良)の62.1%だった。西大和学園は数では東大、京大ともに合格者ランキング上位に入る健闘ぶりだったが、率では東大寺学園にわずかに譲った形だ。
ここまで5校全て、関西の高校が並ぶ。背景について、大学通信の安田賢治常務がこう解説する。
「関西では国公立志向がとても強いのが特徴です。首都圏の高校の場合、東大が難しい場合は早慶に流れますが、関西圏の場合は京大が難しくても、阪大や神戸大に切り替えて受験する生徒が多い」
こうした中、6位は筑波大附駒場(東京)で、首都圏の高校では唯一トップ10に入った。難関10大学の合格率61.3%のうち東大の合格率は55.6%。京大合格は1人で合格率は0.6%にとどまり、地元志向の強さがうかがえる。
7位は札幌南(北海道)の59.9%。このうち地元の北大が30.9%の95人と大勢を占める。ただ、東大と京大に限らず地元以外の難関大を多く受験しており、阪大は7.5%の23人、東北大は2.9%の9人が合格した。
他の進学校を見ても、例えば19位の浦和・県立(埼玉)は東大と京大以外では10.4%の37人が東北大に合格し、他にも北大に12人、阪大に10人が合格している。
新型コロナウイルスの影響で大学の地元志向が強まるという見方もあったが、例年とあまり変わらない結果となった。
安田さんもこうみる。
「難関国立大に限って言えば、コロナの影響は少なかったのではないかとみています。前期で東大や京大を受験する層は、後期で神戸大や北大など別の難関国立を志望する人も少なくありません。一方で私大は地元率が高まっており、早慶は合格者のうち東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏1都3県の割合が75%を超え、過去最高でした」
ただ、特に公立校の受験生にとっては苦難の年でもあった。前出の北野の進路担当者がこう話す。
「緊急事態宣言の影響で、昨年は5月下旬まで休校になりました。この間オンラインで授業をされていた私立もあったようですが、本校ではそれは難しかった。授業の一部の録画やプリントを配信し、あとは生徒の自主性に任せる対応になりました。ただ、そんな中でも生徒が頑張ったことが昨年以上の結果につながったと思います」
環境に恵まれずとも、最後はやはり自分自身の努力が実を結ぶ。受験生にとってはコロナで大変な状況がなおも続いているが、困難にめげずに来年の受験に向けて頑張ってほしい。(河嶌太郎)
※○開成(東京)は京大と難関国立8大学の合格者数について未回答のため、東大の合格者数のみで集計した。
※週刊朝日 2021年4月16日号