1998年8月、米・カリフォルニア州で行われたトーシバ・クラッシックで、シュテフィ・グラフに念願の勝利。テニスプレーヤーとして大きな成長を時間した。翌日食べたパンケーキは忘れられない思い出だ(撮影/下村しのぶ、スタイリング・調理/藤原美佐)
1998年8月、米・カリフォルニア州で行われたトーシバ・クラッシックで、シュテフィ・グラフに念願の勝利。テニスプレーヤーとして大きな成長を時間した。翌日食べたパンケーキは忘れられない思い出だ(撮影/下村しのぶ、スタイリング・調理/藤原美佐)
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 元テニスプレーヤーの杉山愛さん(37)には、「忘れられない最高の朝食」があるという。

 杉山さんは現役時代怪我が少なく、四大大会連続出場回数がギネス世界記録に認定されるほど「驚異の回復力」とスタミナを誇ってきた。秘密は、

「もちろん食事だけではありませんが、選手時代は一日5食たべてました。中でも朝食の力は大きかったですね」

 と振り返る。食べることがエネルギー源。1年のうち8カ月は海外遠征で、滞在先では朝から野菜をたっぷり入れたオムレツにソーセージ、ヨーグルト、フルーツなどガッツリ。ただし、野菜は温野菜かオムレツに混ぜるような形で摂っていた。

「朝ごはんは炭水化物やビタミン、たんぱく質などをバランスよく、胃に負担をかけないような豆やチキンなどシンプルなものを意識していました」

 そんな杉山さんが試合で勝ち進んだ時に自分への「ごほうび朝ごはん」として食べていたのが、パンケーキの朝食だ。テニスの試合は勝ち進むとスケジュールの関係で午後の試合がない日がある。そんな試合の谷間なら栄養バランスを考えずに好きなものを食べられる。ブルーベリーやラズベリー、ストロベリーなどベリー系がたっぷり入ったパンケーキをほお張るのが至福の時だった。中でも忘れられない、人生を変える朝ごはんとなったのが、それまで一度も勝ったことのないシュテフィ・グラフに勝利した翌日の朝食だ。

「とびきり美味しかったですね。一般客も一緒のレストランだったので、いろんな人から『がんばったね』『よかったよ』とたくさん声をかけられて素直にうれしかった。今も忘れられない最高の朝ごはんです」

 現在はパン食が定番。夫と月に1、2回、海沿いのパンケーキ店に朝食を食べに行くのも楽しみになっている。

AERA 2013年5月20日号