広島の投手陣で楽しみなのはこのルーキートリオだけではない。昨年新人王に輝いた森下暢仁もここまで2連勝、15回を投げて失点0と2年目のジンクスを全く感じさせない投球を見せている。昨年はリーグ2位の防御率だったが、今年もあらゆるタイトル争いに加わってくる可能性は高い。

 森下に続く若手の先発候補としては昨年5勝をマークした遠藤淳志、トミー・ジョン手術から復帰した高橋昂也の2人が二軍で安定した投球を続けているのも好材料だ。またリリーフ陣もケムナ誠、コルニエル、島内颯太郎、塹江敦哉は26歳以下とまだまだ若さがある。薮田和樹、岡田明丈、矢崎拓也のドラフト上位指名で入団した3人が伸び悩んでいるのは誤算だが、それを補えるだけの布陣となってきていると言えそうだ。

 今後課題となってくるのは森下に次ぐ先発の柱を確立することではないだろうか。大瀬良大地、九里亜蓮、野村祐輔の3人はまだまだ余力があるように見えるが、年齢的なことを考えると徐々に後退期に入ってくると考えられる。それを埋めるのが先述した遠藤、高橋昂也だけでは少し物足りないのが現状である。

 新外国人のバードとネバラスカスが合流してリリーフ陣に余裕が出てきたら、森浦と大道の2人は先発転向も検討すべきではないだろうか。また来年以降、フランスアが抑えとして戻ってくるのであれば、栗林を先発で起用するというのも面白い。主砲の鈴木誠也がこのオフにもポスティングシステムでメジャー移籍ということが考えられるだけに、来年以降は更に投手を中心に守り勝つ野球をすることが必要になってくる。今シーズンは順調なスタートを切ったが、中長期的なことを考えての投手編成も今後重要になってくるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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