聴力を補うための医療機器・補聴器。正しい方法で購入しないと、後悔することになるかもしれません。現在発売中の『「よく聞こえない」ときの耳の本 2021年版』(朝日新聞出版)では、約10年間で3台の補聴器と格闘してきた女性の話を聞きました。
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「再びこんなによく聞こえるようになるとは思いませんでした。何台も補聴器を買い替えて、“高い授業料”を払いましたが、補聴器をあきらめなくてよかったです」
そう話すのは、一度はあきらめかけた補聴器で2020年、聞こえを取り戻した川島好美さん(仮名・60歳)。30代の半ばごろから、後ろから声をかけられても気づけないなど、聞こえにくさを自覚しはじめました。50歳で聞こえが悪化し、家族のすすめで最初の補聴器を購入しました。
「まず病院に行けばよかったのですが、待ち時間が面倒に思えて、手軽に買える眼鏡店で買ってしまったのが失敗の始まりでした」
眼鏡店で購入した1台目の補聴器は着けていると耳たぶが痛くなり、受話器を近づけると反響音がするため2台目を購入。2台目は電話中の反響音はなくなったものの、話し言葉は聞こえず。違う眼鏡店の勧めで「音域に合った」補聴器を購入。その3台目も言葉は聞こえず、金属音も響いてほとんど使えなかったといいます。
結局、50歳からの10年間で計3台、総額100万円近くの補聴器を眼鏡店で購入するも、聞こえの改善には至りませんでした。
「有名メーカーの高額な補聴器であれば、間違いないだろうと思っていました。眼鏡店でも検査をして調整してくれていたので、きっと大丈夫だろう、と。けれど、どの補聴器も音は聞こえても“言葉としての音”は聞き取れませんでした。結局もう、素人じゃダメだ、と。病院に行けば言葉が聞き取れるように補聴器を調整してもらえるかな、と。それでもダメならもうあきらめようと思いました」
補聴器を調整してもらうために近隣の病院を受診すると、済生会宇都宮病院を紹介されて同病院を受診。耳鼻咽喉科の言語聴覚士、鈴木大介さんに3台目の補聴器を見せると、「これは中等度難聴用なので今のあなたの聴力に合っていないですね」と言われたそうです。
「そもそも補聴器の種類選びが間違っていたようです。適正な補聴器で調整してもらい、現在トレーニング中ですが、今回は最初から音が入ってきて、これまでの補聴器とは全く違いました」