昨年の3月中旬、パンデミックのためにアメリカでもすべての園・学校が閉まりました。さあ来週から休校だというとき、お母さんたちの集まる会で「みんな、一体どうやって毎日過ごすつもり?」とアドバイスを求めたことがありました。その時、一同が声をそろえて言ったのです。「ユーチューブ!!!」と。
そのときは「Hahaha、イカしたアメリカンジョークだね」と笑い、まぁそれくらいの心構えでいたほうがストレスなく休校期間を乗り切れるかもな……と考えていたんですが、休校期間をしばらく過ごしてみて知ったのは、「ユーチューブ!!!」はジョークでもなんでもなく、本当に1日中動画を子どもに見せている家庭がなかなかの数あるという事実でした。大画面でネットフリックスの動画を流しながら、手元ではスマホやニンテンドースイッチをプレイ、という光景も見ました。
アメリカでは幼稚園や学校の宿題もアプリ経由で出るくらいなので、スクリーンの使用率が上がるのは致し方ないともいえます。スマホを見ている親子だって、必ずしも常時SNSをチェックしているだけではないでしょう。ひとくちにユーチューブといっても、娯楽以外に教育的なプログラムもたくさんありますし、その線引きはあいまいです。
そんな背景もあるのか、アメリカのスクリーン規制は日本のそれと比べるとゆるゆるです。たとえば、アメリカ青少年児童心理学会(AACAP)が発表しているガイドラインは次の通りです。
◎18カ月以下の幼児にスクリーンを見せるのはやめましょう。ただし家族や友だちとの動画通話は可
◎18カ月~24カ月の幼児には、保護者の監督のもと教育的なプログラムだけを見せるようにしましょう
◎2~5歳の幼児には、教育的でないプログラムを見せるのは平日1日1時間、週末は3時間までにしましょう
「え、週末だけとはいえ2~5歳に3時間がガイドライン? しかも教育的なプログラムはもっと見せていいってこと?」と、ちょっと驚きませんか。結果、アメリカの子たちのスクリーンタイムは年代によっては1日の3分の1以上にも上ります。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の調査によると、アメリカの子たちがスクリーンの前で過ごす時間は、8~10歳が1日平均6時間、11~14歳は9時間、15~18歳は7時間半。8歳未満の子の平均時間は具体的には発表されていませんが、医学雑誌『JAMA Pediatrics』によると、2歳児の79%、3歳児では97%の幼児がAACAPのガイドライン「平日1日1時間」を超えてスクリーンを視聴しているとのこと。しかもそれは、幼児が自ら見るというよりも親と一緒に見ていることが多いそう。まあ、そうでしょうな……という感想しかありません。