写真はイメージ(GettyImages)
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年収1700万円を超えるM山さんは、退職金も4千万円ほど入る予定だという。しかし、老後は決して明るくない。改善のポイントはこれだ
年収1700万円を超えるM山さんは、退職金も4千万円ほど入る予定だという。しかし、老後は決して明るくない。改善のポイントはこれだ

 厚生年金は、現役時代の収入が少ない人ほど手厚く支給される仕組みのため、年収の高い人は、老後、年金だけで生活レベルを維持するのは難しいかもしれない。現在発売中の『定年後からのお金と暮らし2021』では、可処分所得に比べ出費が多くなりがちな、高収入世帯2組の家計をファイナンシャルプランナー前野彩さんが診断し、改善点を指南している。

【図】参考になる! ダメ家計の改善点はここだ

【相談者プロフィール】M山さん(51歳)
妻(44歳・専業主婦)、長女(8歳・小学2年生)、次女(6歳・幼稚園年長)/職業:会社員
税込み年収:1710万円+家賃収入120万円/月々の手取り額:71万円/現在の貯蓄額・金融商品:普通預金100万円、株式100万円(※詳しい家計は本文最後を参照)

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 M山さんは、年収1700万円超えの大手企業管理職。退職金は4千万円ほど入る予定だが、前野さんから見ると、老後は決して明るくないという。

 今の生活水準で仮に100歳まで生きた場合、家計の赤字は2億円に達する。高額所得者が陥りやすい思わぬ落とし穴と、対策をみていこう。

■生活費ほか、ローンや教育費に毎月80万円! 

前野:M山さんは収入が高い分、税金で約380万円、社会保険料等で約170万円納めています。二世帯住宅で同居する親御さんからの年間の家賃収入120万円を加えると、実際の手取りは1280万円ですね。高収入ですが、株式を含めて貯蓄が200万円ほどしかない点と、生活水準が高い点が気になります。毎月の支出を確認してみましょう。

M山:家族4人の生活費40万円、住宅ローン19万円、教育費20万円、保険料1万5千円と、毎月80万円ほど使っています。固定資産税は年間40万円ほどです。

前野:すると、年間支出約1130万円ですね。手取り額に対して多すぎる印象です。

M山:60歳になったら退職金4千万円と、企業型確定拠出年金が1500万円ほど入る予定なのですが。

前野:うーん。公的年金と個人年金の受け取り額を含めても、支出が多いため、67歳で、手取りベースで5千万円近い退職金と確定拠出年金を使い果たしてしまいます。

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