林:その明るいキャラクターでナンバーワンになって、すごい売れっ子になったんでしょう?
甲賀:私、かなりお酒飲めるんですよ。なので、それなりの売り上げがありました(笑)。
林:ナンバーワンになってお店の売り上げに貢献すると、「私、けっこうホステスさんの仕事向いてるじゃん。ママとして、自分のお店を出そうかな」ってことになりそうなのに、業界全体のことを考えたというのがすごいですよね。
甲賀:私、ホステスの仕事はきっと向いてないんですよ。でも、向いてないからこそ説得力があると思ったんです。特にホステスを始めたときは年齢も30歳近くて、いちばん華がある年齢は過ぎていたし、お客さまがゼロからのスタートだし、モデルさんみたいな子とは違って、親近感を持っていただきやすい自分の容姿も、逆にある意味武器かなと思って(笑)。
林:いやいや、十分おきれいですよ。
甲賀:現役として成功することが目的で業界に入ったわけではなくて、今の協会のような仕組みをつくろうと思って、それが目的でホステスの仕事を始めたんです。なのでそこはブレずに、いつやめるかを明確に日付まで決めて入りました。
林:ほぉ~。そうなんですか。
甲賀:ホステスの仕事をズルズル続けて、気づいたら40歳、これからどうしようみたいな感じになるという話をよく聞くんです。だからそうなってしまわないように、30歳の誕生月の最終日でやめようと思って入って、それに従ったという感じです。
(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)
甲賀香織(こうが・かおり)/1980年、埼玉県生まれ。2002年、青山学院大学文学部卒業。ベースボール・マガジン社に入社後、翌年に出産。米の通販事業を立ち上げる。06年、ベンチャー・リンクに入社。カーブスジャパンに出向し、創業期のスーパーバイザーとして600店舗を支援。08年、水商売の現場経験のため銀座「ル・ジャルダン」に入店。10年、True Heartを設立。11年、「お水大学」を創設。18年、一般社団法人日本水商売協会を設立。3児の母で、現在第4子を妊娠中。趣味は運動と料理。
>>【対談3:ホステスの“愛人的倫理観”とは? 水商売協会代表・甲賀香織が語る】へ続く
※週刊朝日 2021年4月23日号より抜粋