『鬼滅の刃』において、最重要キャラクターである鬼の総領・鬼舞辻無惨。無惨は「人間の敵」であるだけでなく、彼の「手下」の鬼にも、残酷な仕打ちを繰り返す。「下弦の鬼」を集めた会議での仕打ちは、アニメ放映時に視聴者から「パワハラ会議」と呼ばれ、トレンドワードにもなった。しかし、無惨は気まぐれにではあるが、数名の鬼には「甘さ」をみせる。無惨が特別扱いをして、優しさをみせた鬼たちの特徴からは、無惨のゆがんだ「心のうち」がみえてくる。【※ネタバレ注意】以下の内容には、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。
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■鬼の始祖・鬼舞辻無惨
『鬼滅の刃』に登場する、最強の鬼・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)。「鬼の始祖」である彼から血を分け与えられると、適性を示した人間は鬼化する。人間時代、病弱だった無惨は、病の治療法を探すうちに、偶然にも「鬼」の肉体を手に入れた。一見すると、「鬼の身体」は理想の肉体だ。老いることなく、死ぬこともない。唯一の弱点は、太陽の光と、藤の花の毒素だけ。だが、無惨は「完全なる肉体」を手に入れることに執着した。
藤の花の毒は、体内で解毒することが可能だったが、陽の光を克服する方法だけは見つからなかった。そこで日光に強い鬼を「生む」ため、無惨はいろいろな地域に自ら足を運び、鬼化の実験を行う。
そうして生まれた鬼の中から、戦闘や特殊能力に優れた実力者たちを、「上弦の鬼・下弦の鬼」と呼び、上から壱(いち)・弐(に)・参(さん)・肆(し)・伍(ご)・陸(ろく)と数字を与えた。
■「パワハラ会議」を引き起こした「累」の死
ある時、下弦の弐・参・肆・陸が無惨によって殺害された。無惨が4体もの「下弦」をいっぺんに殺害することはめずらしい。何が無惨をこれほど怒らせたのか。
この原因となったのが、「下弦の伍」累(るい)の死亡であった。この少年姿の鬼は、無惨と同様に、歩くことさえままならないほど身体が弱かった。