「作家などの本棚が覗き見できたら楽しそうだと思いませんか?」

 そう話すのは店主の竹田信弥さん。現在、34人の選書者の棚があり、他には高校時代にオンライン古書店を運営し、2013年からは実店舗を営む竹田さんが選んだ本を取りそろえている。選書サービスは15年から開始、現在は3カ月間、「半年以内に発刊された新品の本」と「既刊の新品の本」が毎月1~3冊届く選書配本サービス「本棚からの便り」を行っている。9150円(送料、選書代込み)で、8250円分(税込み)の本が届く。

 依頼者はアンケートに答えるほかに、自宅の本棚の写真を撮影して送る。

「僕が書店員としてその棚をディレクションするなら、あの本があってもいいかも、という観点で本を選びます。その人の好みを聞いてその人に合った本を選ぶのではなく、本棚に向けて本を選んで送っている感覚です」

 選書の手がかりを本棚からつかむのには理由がある。

「未知のものと出合ってもらいたいから、本人が選ばないような領域の本を紹介するのが僕の役割。自分が全く読んだことのない本を選んで買うのは難しいし、失敗したくはないはず。もし僕の選書がいい出合いじゃなかったとしても、『あの書店員のせいだ』と失敗を僕になすりつけてくれればいい(笑)」

 記者も早速、自宅の本棚を撮影してメールで送信し、選書を依頼した。数日後に届いたのは、小説『最高の任務』(講談社)と、書店や出版の可能性を模索する『新世紀書店』(ポット出版)。確かに書店で見かけても自分は手を伸ばさないかもしれないが、仕事に関わる内容であり、「そう来たか!」と唸る、絶妙な選書だった。

 これらの店は、書店員というプロが選書を行うものだが、人から「これおもしろいよ」とすすめられるのも、未知の本を知る機会となる。大阪ガスは、見知らぬ人同士がすれ違っただけでおすすめ本をやりとりできるというユニークなスマホアプリ「taknal(タクナル)」を昨年末に無料で公開した。2月にツイッターで話題となり、利用者数が急増中だ。

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