中日のリリーフエースとして10年に歴代最多のシーズン47ホールドを記録した浅尾拓也も、中学時代は軟式野球部の捕手。常滑北高(現常滑高)入学後も初めは捕手だったが、2年秋に投手不足というチーム事情から投手に転向した。

 これが見事にハマり、日本福祉大4年時に最速152キロをマークして素質開花。全国的に無名の愛知大学リーグ3部校とあって、当初中日が“隠し玉”として獲得する予定だったが、浅尾の活躍でチームが1部に昇格し、他球団にも存在が知れたため、06年の大学・社会人ドラフトでは3巡目で指名された。もし捕手のままだったら、10、11年の中日のリーグ2連覇もなかったかもしれない。

 巨人の捕手・岸田行倫も、報徳学園時代の14年のセンバツで4回1/3を1安打6奪三振無失点の好リリーフ。昨年8月6日の阪神戦で、原辰徳監督が内野手の増田大輝をリリーフ起用した際に、岸田も候補に挙がっていたといわれる。機会があれば、プロでもマウンド姿を見たい一人だ。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら