自主学習のための技法を紹介した著書『独学大全』(ダイヤモンド社)が17万部を突破したブロガー・読書猿さん。現在発売中の『AERA English 2021 Spring & Summer』(朝日新聞出版)で、独学で英語学習を成功させる秘訣を聞いた。抜粋して紹介する。
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■英語から逃げることをやめれば情報源が広がる
――読書猿さんが考える「英語を学ぶメリット」とは何でしょうか。
読書猿さん:英語から逃げることをやめるだけで、学習資源と情報源の選択肢が一気に広がります。インターネットの登場以降、独学者でも、かつてなら大学のような研究機関に属していないと見ることができなかった資料に、家に居ながら、あるいは携帯端末で出先でもアクセスできるようになり、空間的、金銭的、制度的な壁が取り払われました。最後に残ったのが、語学の壁です。
英語から逃げていると、ネットが開いた可能性のかなりの部分を捨ててしまうことになります。ネット以外にも、学術情報にしろ、ビジネスの情報にしろ、様々な文献が、まずは英語で発信され、集積されている。そうしたものに出合うメリットを思えば、英語学習は、確実に大きなリターンが得られる学習投資だと思います。
■実力より2段階低い、高校生向けの参考書を選ぶ
――「大人の英語の学び直し」に適したテキスト(英検2級程度)はありますか?
読書猿さん:『独学大全』で「可能の階梯」という技法を紹介しているのですが、その中で「今の実力より2段階低いところから始めること」をすすめています。学び始めは、誰もが学習意欲が高揚している状態なので、高めの課題設定をしてしまいがちです。しかし実力より2段階低いところから始めると、スタートダッシュが決められます。
高校生向けの参考書はマーケットが広い分、廉価で質が高くて教材におすすめです。AERA English読者の方には、その中でも「超高校生級」の2冊を紹介しましょう。
『英文 詳説世界史 WORLD HISTORY for High School 』(山川出版社)は、高校世界史教科書として定評のある『詳説世界史』を英訳したものです。図なども忠実に訳されているので、『詳説世界史』の対訳教材としても使えます。内容は高校生レベルですが、「英語を学ぶ」段階から、英語をツールとして使う「英語で学ぶ」へステップアップするには絶好の入門になります。