昨年も無観客試合を経験したが、今年はグラウンドでプレーする選手たちの感覚が違うという。ある選手は「モチベーションを上げるのがキツイ」と漏らす。

「プロ意識が低いと言われるかもしれませんが、ファンの存在によってパフォーマンスが間違いなく変わってくる。凡ミスが試合中に目立つのもお客さんがいない影響があると思います。昨年も無観客試合を経験しましたが、あの後にお客さんがまた入れるようになってチームの雰囲気も明るくなった。ファンは声を出して応援できませんが、手拍子だけでもチャンスの場面で球場の熱気が全然違う。録音された応援歌が流れますが、あれは生の音ではない。また無観客に戻ると、気持ちを高めるのに苦労します」

 ある球団職員は「感染対策を万全にして球場でクラスターが発生した事案が聞かれないのに、スポーツ観戦はなぜ無観客なのだろうという疑念は今も持っています。ただ今は我慢の時期ですね。球団の経営は苦しいけどコロナが収束するまで耐えるしかない」と言葉に力を込める。

 学校が休みになるゴールデンウイークは子供たちが生で野球観戦できる絶好の機会だった。今は「ステイホーム」でテレビの画面を通じて応援するしかできない。選手もファンの姿は見えないが、その思いを胸に刻んでプレーしてほしい。(牧忠則)