大河ドラマ「青天を衝け」では、江戸幕府最後の将軍となる徳川慶喜役を演じている草なぎ剛さん。週刊朝日ムック『歴史道 Vol. 15』では、その草なぎさんにインタビュー。ドラマで見せる秘めたる熱い思いを覆い隠した慶喜とは違い、取材中は、終始笑顔。そんな表情豊かな草なぎさんに、自身が演じる慶喜や渋沢栄一に対する思いを語ってもらった。
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――『青天を衝け』が放送され、どのような感想をお持ちですか?
改めて、毎週放送されるというのはスゴイなと思っています。久しぶりの連続ドラマなので、その醍醐味を改めて感じて。愉しんでいます。
――演じられている徳川慶喜については、どのようにお感じになりますか。演技プランのようなものがあれば教えていただけますでしょうか。
これは最初に、演出の黒崎博監督とお話ししたことなんですが、つかみどころのない人物なんだろうと思っています。歴史詳しい人はもちろん、現代を生きる僕たちは、慶喜がどうなるのか、わかってしまっているわけです。まだ物語はそこまで進んでいませんが、この後、どうあったって慶喜は将軍になり、幕府は滅びてしまいます。結果はわかっている。
でも、僕自身は素直に脚本と向き合って、自分が将軍になるべきかどうか、葛藤する慶喜の気持ちに近づけようとしています。このあと、どうなるかわからない。もしかしたら将軍にならないかもしれない。そんな不安定な気持ち、周りから浮いているような力の抜けた感覚が、慶喜のつかみどころのなさとして表現できるのではないかと思います。
■竹中直人さんから「本当の息子のように思えてきた」
――大河ドラマならではの魅力は?
時間も人も、手間暇かけて、丁寧に作られている印象です。今日は2シーン撮影をしたばかりなんですが、ものすごく奥行きのある大きなセットで、撮影中に「あれ? ここスタジオだよな」と我に返るくらい。そのスケールの大きさには驚きます。