「ワクチン自体の管理や供給のシステムと、国民がワクチンを受けたという接種記録のシステム、さらに新型コロナウイルス感染者の管理システム、それぞれがバラバラになっていることも、現場の負担となり、混乱の原因となっています」
また、「パソコンよりスマホのほうがアクセスしやすい」「電話予約の場合は公衆電話がつながりやすい」という説も流れるが、それほど大きな差異はないのではという。
「サイトによってはアクセス集中を防ぐ手立てとして、国内のプロバイダーからのアクセスを制限していることはあるかもしれません」
SNS上の事例にもあった海外からのアクセスの有利さは、可能性としては考えられるかもしれない。
そんななか、チケット販売大手の「ぴあ」が、「チケットぴあ」のシステムを活用した「新型コロナワクチン接種予約受付・抽選サービス」の提供開始を5月13日に発表した。これまで数多くのチケット予約・販売を行ってきた同社ならではの強みを生かすかたちだ。
「こういうときこそ、ライブやスポーツなど人気が集中する予約を受け続けてきたチケットぴあのノウハウ、システムがそのまま使えるのではないか、そしてそれを使っていただくのが一番いいのではないかと思いました」
と、ぴあ広報担当役員は言う。今回の、ぴあ版の予約システムは、先着ではなく抽選方式を採用し、同一人物の複数申し込みなども防ぐという。
「登録期間には幅を設けますので、行列したり、朝からアクセスし続けたりせず、ゆっくり余裕をもって登録していただければと思います。この先の大規模接種や若年層の接種になったときにも対応できます」
前出の担当役員は言う。
「一日も早く超満員、大歓声でライブやイベントを楽しめるようになってほしい。そのためにも一日も早く多くの人にワクチン接種が進まないと。その接種が止まっている予約の殺到をなんとかできればという思いです」
すべての人に順調にワクチン接種が行われることを願いたい。(本誌・太田サトル/ライター・浅野裕見子)
※週刊朝日 2021年5月28日号