富永病院(提供写真)
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富永病院理事長で院長の富永紳介医師
富永病院理事長で院長の富永紳介医師

 くも膜下出血を引き起こす脳動脈瘤(りゅう)は、破裂する前に見つけて治療することが可能だ。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』で、脳動脈瘤の治療数全国1位の富永病院(大阪府)は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大が起こっていたこの1年余りの期間、どのように治療に対応してきたのだろうか。同院理事長で院長の富永紳介医師に話を聞いた。

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 日本人の死亡原因の第4位である脳血管疾患(厚生労働省「2019年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)。脳の血管に何らかの障害が起こる病気にはいくつかの種類があり、脳の血管にできた瘤(こぶ)が破裂したものを「くも膜下出血」という。

 脳動脈瘤は、瘤ができても破裂するまで自覚症状がほとんどないことが多いが、ひとたび破裂してくも膜下出血になると、激しい頭痛や嘔吐などの症状が突然表れ、死に至ることが多い。破裂したら一刻も早く病院で治療することが必要になる。

 近年では、脳ドックの普及により未破裂の脳動脈瘤が発見される割合が高くなっている。発見されると瘤の大きさや、発症した部位などにより、破裂するリスクと治療に伴うリスクを考慮して、治療の有無が決定される。

 そんな命に関わる脳動脈瘤だが、20年のコロナ禍において富永病院はどのような状況だったのか? 富永医師は次のように述べる。

「第1波の際、医療機関は、三つの選択肢があったと思います。通常医療に徹する、通常医療をおこないながらコロナ患者を受け入れる、コロナ患者の診療に専念する、という三つです。そのなかで、当院はコロナの患者さんを受け入れないで、脳疾患治療という通常医療に専念しました」
 
 脳疾患の治療を中心に診療をおこなってきた同院は、なぜ通常医療に専念したのだろうか。富永医師は次のように話す。

「コロナの患者さんを受け入れないということで、当初、冷ややかに見られました。しかし、下手にコロナの患者さんを受け入れて病院の機能が止まってしまうと、地域医療に貢献するどころか、むしろお荷物になってしまいます。そうであれば、コロナの患者さんについては適切に対応できる他の病院に担当してもらったほうがいいと考えました。我々は脳疾患の専門病院としての確固たる実績がありますので、他院でおろそかになるその部分を担当することが、コロナ禍で厳しい状況にある医療現場に貢献できることになると思いました」

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