古賀茂明さん
古賀茂明さん
この記事の写真をすべて見る
菅義偉首相と尾身茂氏(C)朝日新聞社
菅義偉首相と尾身茂氏(C)朝日新聞社

 菅義偉内閣の支持率下落が顕著だ。菅総理にとって、五輪開催は命綱のはず。そのためには、新型コロナウイルスの感染抑制が必須だが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の拡大には後ろ向きで、何を考えているのか全くわからない。

【写真】互いに信用していない?

 そこで、そんな菅氏の頭の中を想像してみた。

「俺様にとって一番大事な目標は五輪ではない。ましてや国民の命でもない。何よりも9月の自民党総裁選で再選されること。これに尽きる」

「そのためのプランAは、もちろん五輪開催だ。コロナの感染状況いかんにかかわらず開催するが、緊急事態宣言を拡大、延長はしたくない。自分がそれを言うと、飲食業者や旅行業者が怒り、選挙に不利になるし、二階俊博党幹事長にも恨まれる。だが、専門家がどうしてもと言うなら従う。経済的な被害を専門家や野党のせいにできるからだ。その結果、感染が抑制されて五輪開催になれば、万々歳だ」

「感染拡大が収まらなくても、五輪開催は最後まで諦めない。感染爆発で医療崩壊になれば、国民の間に恐怖感が広がり、それが感染抑制には最も有効。だから無理な規制はしないほうがいいくらいだ。どちらにしても、9月までにはワクチン接種が進み、コロナ感染は落ち着く。その間、死者が多少増えても、五輪フィーバーと、秋からのGo Toキャンペーンで国民は、すぐに忘れる。9月上旬に国会を開き、1人10万円の特別給付金や子育て世帯への追加支援などを盛り込んだ大々的バラマキ補正予算を通して、即解散総選挙に持ち込む。自民党総裁選はその後に延期する。議席減を最小限に抑えて、『選挙に勝った!』と言えば、総裁選でも対抗馬は出ず、無投票再選だ」

「最悪の事態は、主要国が選手団派遣をやめ、IOCも中止と言いだす場合だが、それでもプランBがある。まずは、自分が主導したかのように『五輪中止宣言』を出す。一方で、五輪に投入するはずだった医師や看護師らも使ってワクチン接種をさらに加速。それで9月までに感染を抑え、『五輪中止の英断でコロナを止めた』と胸を張る。その後のシナリオはGo Toとバラマキ補正で選挙というプランAと同じ」

次のページ
総裁選に向けた「ライバル対策」は