子どもの成長とともに、かさんでくるのが教育費。その中で意外に高価なのが、学用品。その費用に泣く保護者の声を聞いて、対応を始める学校もあるようだ。

 高額の学用品に対する保護者の嘆きについて、中学受験専門の大手進学塾の日能研広報はこう分析する。

「負担感は、私立中より私立高の保護者に強いかもしれませんね。私立中を受験する家庭は、比較的豊かな層が現在も残っているので、この図式が当てはまらないんです。彼らは市販の100円のノートより、校章のワンポイントが入った300円のノートを喜んで買います。それより打撃が大きいのは、子どもが高校受験をした親ではないでしょうか。特に第1志望の公立が不合格で、私立進学という場合、より負担感が増すのでは」

 学校側も対応を始めている。

中学受験生の保護者の間では有名だった穎明館中学高等学校(東京都八王子市)の“学習机”購入。同校では、毎年新入生に、教室で使う学習机を4万4500円で購入させていた。この慣習は現在の高校3年生が入学したときまで続いていたのだが、現高校2年生から「経済状況を鑑みて」(名倉利行入試広報部長)取りやめている。当時の保護者からは、「思い出になってよかった」(男性会社社長・52歳)と歓迎する声がある一方、「机を購入しても、持ち帰れないし、学校に寄付するしかない」(主婦・49歳)と疑問を呈する声まで、反応も様々だった。

この「慣習」取りやめについて、日能研広報はこう解説する。

「賛否両論あるものの、歴史が浅い同校の大きな特色だっただけに、机購入廃止は苦渋の決断だったのではないでしょうか」

 また、伝統ある“毎朝の運針”が有名な豊島岡女子学園(東京都豊島区)では、裁縫箱は、絶対的な学校指定品の購入が求められる?と思ったが、「自宅にあるものや、小学校で購入したもので構いません」(同校・盛田雅也教諭)と、財布に優しい。

 高い学用品を購入しなければいけないのは、いまや私立だけではない。今春、都内の公立小学校に子どもを入学させた母親(43)によると、入学と同時に購入した品物の総額は5万円だった。購入したものはランドセルや筆記用具など学用品以外にも、色々と「不思議な」ものがある。

 ランチョンマット(毎日交換するため複数枚)、教室移動時に荷物を入れるための布袋(大
きさが異なるので必ず2枚)、防災頭巾入れを兼ねる椅子カバー、ビーチサンダル(水泳授業用)、巾着袋(体操着用・ランチョンマット用・リコーダー用など、それぞれ別の袋が必要)、学童専用の上履きなどなど。母親の怒りは収まらない。

「これって本当に必要? 念の為の予備として買わせているのでは!?と思われるようなものばかり。学校の守りの姿勢が見え見えでいやになります」

AERA 2013年6月17日号