自民党役員会に臨む菅義偉首相と二階俊博幹事長(C)朝日新聞社
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二階派パーティ券(提供)
二階派パーティ券(提供)

「コロナがこんなところにまで影響するなんてね。東京五輪・パラリンピックもこうして延期できればいいんでしょうがね」

【写真】三浦瑠璃氏がゲストの二階派のパーティ―券はこちら

 こう苦笑いするのは、二階派の衆院議員だ。手にしていたのは6月15日に東京都内のホテルで開催する予定だった二階派「志帥会」が主催する政治資金パーティ券だ。

「新たな時代の国家戦略」というテーマで三浦瑠璃氏ら講師3人の名前が記されている。会費は2万円。これまでの政治資金パーティであれば、バイキング形式のゴージャスな食事や酒が振る舞われるのが定番だったが、案内にはこう注意書きが記されている。

<本会開催にあたっては、政府が定める「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に従い、適切な感染症防止策を実施いたします>

<シアター形式の着席スタイルのため、お食事の提供はございません>

<議員との写真撮影、名刺交換、握手、大声の会話等はご遠慮ください>

 さらにリモートで参加できるように、動画配信のQRコードも記されていた。

 だが、5月末の予定だった緊急事態宣言は6月20日まで延長されることが決まり、その後も再々延長はない、と断言できない状況だ。二階派のパーティも延期が決定した。

 一方、二階派幹部でもある武田良太総務相も「朝食会」を企画していたが、再々延期となった。こちらも会費2万円で講師には上場企業の幹部の名前があり、朝食も出る予定とある。当初は4月26日を予定していたが延期したという。

「次に5月20日と変更したが、これも延期になり、6月に実施と考えていたが、緊急事態宣言の延長もあってまだ日にちは決まっていない」(武田総務相関係者)

 武田総務相の朝食会は「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」に違反する可能性もあった。国民の信頼を確保するために「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛」と明示されている。

 それでも武田総務相、閣僚を抱える二階派がこの微妙な時期にパーティをどうしても開催したい「事情」があるという。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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