「今の関係が一番いいかもしれない」と話す貴子さん。写真はイメージ(写真/PIXTA)
「今の関係が一番いいかもしれない」と話す貴子さん。写真はイメージ(写真/PIXTA)
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 石山尚樹さん(仮名・40歳)と貴子さん(仮名・41歳)は、2010年に結婚し、17年に離婚した。5歳の子どもの親権は貴子さんが持つが、尚樹さんと子どもは月に数回、会っていて、泊まりで預かることもある。元夫婦関係も良好だ。そんな2人はなぜ別れたのか。

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【夫編 バツイチの夫が2度目の結婚でも耐えられなかったこと】では尚樹さんは結婚後も「個」であることを望んだが、貴子さんの家族観はそうではなかったことが離婚原因だと語られた。では、同じ夫婦生活は、元妻である貴子さんからはどうみえていたのか。

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 軽くカールしたセミロングヘアに、落ち着いた紺色のワンピース姿の貴子さんは、コンサバティブな雰囲気のきれいなママ。北関東の生まれで、大学卒業後は地元で広告制作の仕事をしていた。20代後半になり、東京に出て仕事をしたいという気持ちが出てきた。転職活動をするなかで、出会ったのが尚樹さんだ。

 尚樹さんの勤める会社が、貴子さんが希望する会社の求人情報を扱っていた。アドバイスをもらううちに、恋愛関係になった。仕事に一生懸命な姿にひかれた。

「結局、彼の紹介ではない会社に転職が決まったのですが、上京と同時に一緒に住み始めました」

 両親にも紹介し、同棲は家族公認。正月に尚樹さんを連れて実家に行ったとき、両親から「で、結婚はいつ?」と。まわりから誘導される形で、結婚まで進んだ。

「もうすぐ30歳というタイミング。子どもを産むことを考えると、そろそろ結婚したいなと思っていました」

 尚樹さんに一度、結婚歴があることは知っていたが、「あっという間に別れた」と聞いており、とくに気にならなかった。

「相性が悪かったんだな、としか思いませんでした。でも、いまならわかります。結局、結婚に向かない人だったんですよね(笑)」

 貴子さんは、結婚する少し前に、広告制作会社を辞めていた。広告業界はハードで、尚樹さんとの時間がまったく取れなかったからだ。貴子さんが尚樹さんの生活リズムに歩み寄ることで、すれ違いが埋まるのではないかと考えた。しばらく派遣で、事務仕事をしていた。

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夫は「何かに縛られるのが極端に嫌いな人」