「子どもと一緒にいるときは、思いっきり遊んでくれるいいパパでした。子どもと引き離すつもりはなかったですね」 

 貴子さんと子どもは、貴子さんの職場からなるべく近くのマンションに移り住んだ。尚樹さんは、そこから2駅ほど離れたところに部屋を借りた。

 それから4年。いま、貴子さんにとって尚樹さんは、困ったときに一番に連絡する相手である。

「私の仕事が忙しいときや具合が悪いときに子どもを預かってもらったり、私が子どもとぶつかったときに子どもを連れ出してくれたり。3人で会ってごはんを食べることもあります。別居パパとしては、最高のパパだと思いますね」

「家族」への思い入れが強かった貴子さんと、「家族」に縛られたくないという思いが強かった尚樹さん。「家族」という枠が外れたことで、互いに楽になった。むしろ結婚していたときより、思ったことが素直に言える仲になったと、貴子さんは言う。

「もしかしたら、いまの関係性が、出会ってから一番いいかもしれないです」

(取材・文=上條まゆみ)

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