今回の武力衝突で暴動が起きたイスラエル中部ロッドでは、ユダヤ系の男性(56)が帰宅途中、アラブ系の暴徒に襲われて亡くなった。移植ドナー登録をしており、アラブ系の女性(58)が移植を受けた。

「ユダヤ人の肝臓が私の一部になった。私たちは家族同然です」

 快方に向かう女性の言葉を地元紙は伝える。その娘は続けた。

「アラブ人もユダヤ人もない。私たちはただ人間。共に生きる必要がある」

(敬称略)(ライター・秋葉玲央)

AERA 2021年6月7日号より抜粋