■都は中止の検討せず
自治体や市民だけでなく、専門家も警鐘を鳴らすなかでの開催に意義はあるのか。井の頭公園でのライブサイト設置について、東京都オリンピック・パラリンピック準備局のライブサイト担当者はこう説明する。
「2020(東京五輪・パラリンピック)の競技会場が多摩地域に多くないため、会場の雰囲気を感じられる場を設置したいと地元関係者と選定した経緯があります。武蔵野市から中止の要望書はありましたが、その中に実施するなら対策をしてほしいという項目もあった。それを真摯に受け止め、これまで以上に情報提供や連携を密にしていきたいと考えています。中止の検討はしていません」
都立大学はどうか。
「大学からの中止要請があれば、内容を拝聴して一緒にやっていけるのかを話していきたいと考えています。学生の思いは認識していますが、授業や活動の制限は大学側が判断しているため、こちらから何か申し上げることはできません」(担当者)
この1年、人流が戻れば感染者数が増えることを誰もが学んできた。スポーツの力を世界に発信する前に、都民が納得のいく決断をしてもらいたい。(編集部・福井しほ)
※AERA 2021年6月21日号に加筆