東京五輪のパブリックビューイング(PV)をめぐるゴタゴタが続いている。
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「ファクトではございません」
「発信された社に事実誤認であると抗議文を出させていただいた」
11日の定例会見で、小池百合子都知事はそう言い放ち、時事通信社が同日に報じた「PV中止報道」を真っ向から否定した。「ワクチン接種会場への転用も検討していない」(都の担当者)という。
一方、厚生労働省の田村憲久大臣は同日に開いた記者会見で、埼玉県や千葉県が相次いでPVの中止を発表したことについて、「適切な判断」と評価。「できれば自宅で応援していただきたい」と国民に呼びかけた。
さらに同日、神奈川県の黒岩祐治知事も定例会見で、五輪期間中に藤沢市で実施予定だったライブサイトの設置を中止すると表明。東京都がPV開催に突き進む裏側で、首都圏の首長らが決断に踏み切っている。
五輪の開催まで、41日。会場として指定されている井の頭公園の利用者や東京都立大の教職員からは、ため息と怒りの声が聞こえてくる。
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閑静な住宅街が騒然となった。
「井の頭公園にライブサイトを設置するな!」
「五輪は中止」
東京都などが開催する東京五輪のライブサイト、パブリックビューイング(PV)をめぐって、会場となる東京都立井の頭恩賜公園(三鷹市、武蔵野市)の周辺では6月6日、デモが実施された。約100人が参加し、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかでの開設の中止を訴えた。
■武蔵野市は中止を要望
樹木の剪定で物議をかもした都立代々木公園(渋谷区)での開催は中止となったが、井の頭公園や都立日比谷公園(千代田区)、東京都立大学南大沢キャンパス(八王子市)など都内4カ所で予定されている。井の頭公園では五輪中継のほか、競技体験やステージイベント、飲食店の出店など幅広いコンテンツが実施される。約2万人が集まるとみられ、感染拡大が懸念されている。
井の頭公園の近くに住む女性も疑問を投げかける。
「政府はテレワークをするように呼びかけていたのに、五輪は集まって観戦しようというのは矛盾しています。密集させたいのかさせたくないのか、どっちなのかわからないです」
見直しを願うのは、市民だけではない。