■高齢化社会では出番が増える
一方、食品添加物の指定品目数については「一概に日本が多いと言えない。諸外国で数え方が違う」とも指摘する。たとえば、ビタミンの添加剤について、日本は添加物に入れるが、外国は入れないという。
国が認めた食品添加物は安全という畝山さんは「添加物を悪者にすると食べるものがなくなる」と話す。たとえば、高齢者が食事でのみ込みやすくするため、硬いものを軟らかくするのに添加物を使う。高齢化社会で、食品添加物の出番は増えてくる。畝山さんは「規格基準のあるもののほうがないものより安全」という。
さらに、和菓子に着色料を使わなくなると、「和菓子の美しさが失われるのでは」と畝山さんは話す。人が食べたいという気持ちにさせることも、食生活を豊かにするためには大切という。
食生活を便利で豊かにしてくれる食品添加物について、畝山さんは「普通の人はおいしく、安いほうがいい。食品添加物にストレスを感じることなく、普通に食べていい」と話す。一方、「無添加」表示の食品は値段が高くなりがち。「無理に買う必要はない」ともいう。
さらに、安全性が確認されている食品添加物を問題視するくらいなら、発がん性のあるヒ素などに目を向けてもいいのではと畝山さんはみている。日本人が主食とする米にはヒ素やカドミウムが含まれており、「日本人は海外に比べ比較的摂取量が多い。食品に含まれる天然の有害物質のほうが食品添加物よりリスクが高いものがある」と話す。
米がヒ素やカドミウムを含有するのは土壌や育て方が影響しているという。米のヒ素の含有量は「地域や年度により違うが、それをすべて調べて表示することを求めたりはしないでしょう」と畝山さんはいう。
ひじきもヒ素を多く含む。ベビーフードにひじきが使われていることもある。鉄分を含ませるためなら、ひじきよりも添加物を使ったほうがいいともいう。
国が安全と認めた食品添加物を受け入れるか、できるだけ避けるかは、消費者の選択の自由だ。くれぐれも、不使用表示には惑わされないようにしたい。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2022年12月16日号