添加物は便利だが、漠然と不安を持つ消費者も少なくない。「人工」や「合成」などの添加物を使う食品は購入を避ける消費者もいる。食品添加物について国の消費者意向調査によると、国が安全性を認めたものが使用されていると知らない人が3分の2に達した。

 しかも、「**を使用していない」や「**無添加」など特定の添加物を使用していない表示を見ると、「添加物をまったく使用していないという印象」や「他と比較して添加物が少ない印象」と答えた人が54.3%もいた。

 また、「無添加」とだけ表示すると、着色料なのか、保存料なのか、何が無添加なのかわからない。そこで消費者庁は、保存料無添加などと具体的に表示するのが望ましいとしている。

 ワインなどの果実酒には抗菌性を持つ保存料のソルビン酸を使うのが一般的だが、消費者庁はそもそもこれを使用できない清涼飲料水に「ソルビン酸不使用」と表示するのは不適切ともしている。

 食品添加物の不使用表示には、消費者が誤認するものもあり、正確に理解していない人もいる。そこで、消費者庁はガイドラインを今年3月に公表した。ガイドラインは食品表示基準で「表示禁止事項」となる恐れがある10類型を掲げた。消費者庁によると、実際に該当するかは個別の判断となる。

■強調する表示に消費者が誤認

 消費者庁は「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を3年にわたり議論してきた。

 検討会のメンバーで、消費生活コンサルタントの森田満樹さんはこう解説する。

「日本は無添加などの強調表示が多すぎる。全体の約2割が無添加など、なかには消費者を誤認させるものもある。今回のガイドラインは、それを制限し、消費者に誤認させないようにするものです」

 ある食品で「保存料無添加」とだけ表示し、酸化防止剤を使っているケースもあるという。

 森田さんによると、ガイドライン検討会の議論で、食品業界は「無添加」、「**不使用」と表示したいとして、ガイドラインに反対の立場だったという。

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