
60年以上、同い年の美智子さまを追いかけ、20冊あまり本を書いた。87歳となった今年、皇室ジャーナリストとして渡邉みどりさんは、集大成となる著作を発表した。『美智子さま いのちの旅─未来へ─』(講談社ビーシー/講談社 1650円・税込)。テーマは「終活」だ。
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美智子さまとの出会いは、大学時代。読売新聞社主催の論文コンクールで渡邉さんも友人も軒並み落選する中、2位に入選したのが、当時聖心女子大の2年生だった正田美智子さんだった。しかも、賞金2千円の半分は「社会事業の一助に」と返還し、半分は母校に寄付していた。その名は脳裏に焼き付いた。
そんな「正田さん」はテニスコートで時の皇太子に見初められ、3年後、プリンセスに。渡邉さんは日本テレビの新米ディレクターとして、翌年のご成婚パレードの取材に加わった。歓声の中で美智子さまの姿を見た瞬間、「この方とは一生涯関わり続ける」と不思議な縁を直感したという。
その予感通り、人生を皇室報道に捧げてきた。
「テニスに興じる美智子さまを取材した時は、まず『立派なおみ足だ』と思いました。小さいころ疎開先で『かけっこが速い正田のみっちゃん』と呼ばれただけあるなあと。ひょんなことから、侍従の方に『妃殿下のお友達』だと勘違いされて、大事な着物やグランドピアノを見せてもらったこともありましたね」
皇室の数々の改革も振り返る。
家事育児は美智子さま自らする。被災地への慰問の際は床にひざをついて話す。誰かを呼ぶときは、呼び捨てせず「さん」をつける。これらの変化は、民間から嫁いだ美智子さまの「市民の感覚」によるものが大きいと渡邉さんは考えている。