内村は過去の実績を語ろうとはしない。そもそも過去に興味がないため、ことさら振り返ることもないという。
理想の上司ランキング、男性部門で5年連続1位のウッチャンこと内村光良の“上司力”に迫った書籍『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版)。関係者への取材を重ねた著者の畑中翔太が、リーダー内村を分析する本連載。
第17回目のテーマは「過去の話はしない」。
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内村は「むかし俺はこんなことをした」「あの時代はこうだった」といった、よくある自慢話をしない。そもそも過去の自分を語るということをあまりしない。
そのため、内村と仕事をともにする若手俳優や若手タレントの中には、内村の過去の実績を知らない人間も多いという。
NHK『LIFE! 』で内村とともにコントに挑戦し、『夜の連続テレビ小説 うっちゃん』で若かりし頃の内村光良役を演じた俳優の中川大志氏も、やはり生まれる前の内村の活躍をリアルタイムでは知らなかった一人。
演じるにあたり内村の経歴をあらためて調べ、「こんなにすごい方だったのか!」と瞠目(どうもく)したという。
「たまたま飲み屋で出会った人と仲良くなって、大好きになったら、その人が帰った後に、実は大スターだったことを知るみたいな感じです(笑)。もちろん以前から尊敬はしているんですが、内村さん自身、過去のことをまったくお話にならないので……過去の実績をおくびにも出さなかったことも含めて、かっこいいというか、知ってしまったらより一層尊敬してしまいますよね」
リーダーに選出された者たちであれば、きっと周りに伝えたくなる経歴を数々手にして いることだろう。「会社一の売り上げを達成した」「大ヒット商品をつくった」「たくさんの賞をもらった」などの実績を買われ、リーダーの座を託されているのではなかろうか。
だがこの記事を読んでいる皆さんには、請われないかぎりは、いや、請われても、自分から「過去」に言及する行為は止めることを提案したい。