今道:そうでしょう? 初めの答案にあった、
「インターネットの利用は便利な面だけはでないことを教え、自分の身は自分で守らなければいけないことを指導していく。その上で、インターネットとのより良い付き合い方について考えさせる」
「家庭でも子どもたちのインターネット利用について気を配ってもらい」
こういう、漠然とした話が、はっきり伝わるようになったはずです。
もとゆき:確かに、そうです。
今道:最初の答案では、まだ具体化が不十分なんですよ。第三者が読むと、何をするのかイメージできない状態です。これでは「納得」「理解」が得られないんです。「具体化する」というのは、相手の頭に状況がはっきり浮かぶようにすることなんです。
もとゆき:なるほど、そこまで考えていなかったです。
今道:特に教員試験、公務員試験、昇進試験では、「どういうことに取り組むべきか」という出題が多いです。例えば「自治体として地域の活性化にどう取り組むか」「管理職として職場の課題の解決にどう取り組んでいくか」とか、そういった出題です。それに対して、「取り組みの具体化」が不十分な答案がとても多いです。
もとゆき:「そのためにどうするか」まで書き込まなきゃいけないんですね。
今道:そうです。そこを具体化できないということは、イコール「自分も分かっていない」ということなんですよ。
もとゆき:というと?
今道:例えば「自分の身は自分で守らなければいけないことを指導していく」という点について、「そのために何をどうするか」が具体的に書けないとしたら、「どう指導したら良いのか自分も分かっていない」ということです。
でも、これから教員として実践することになるわけですから、それが分かっていないと駄目ですよね。
もとゆき:それはそうです。
今道:教員採用試験以外でも、そういう答案がとても多いんです。例えば、昇進試験でよくある答案として「私は係長として職場での情報共有を積極的に図っていきたい」「職場のコミュニケーションの活性化が私の責務だ」とか威勢の良いことが書いてあるだけで、「そのためにどうすれば良いのか」は何も書いてないことがあります。でも、これから職場のリーダーとなるべき人がそれでは駄目ですよね。さらに一歩掘り下げないといけないんですよ。