米国シカゴ発の投資情報が大人気の投資家、もみあげさんから米国株に関する実践的な投資アドバイスをもらった。「AERA Money2022秋冬号」よりお届けする。
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初心者が最初に買う米国株として気になるのは、やはり「GAFAM」だろう。
GAFAMとはアルファベット(グーグル)、アップル、メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトの英語の頭文字をつなげた造語。IT事業を武器に急成長してきたスター株だ。もっとも、最近はこの5社も明暗が分かれつつある。
5銘柄のうち、どれが魅力的なのか。もみあげさんに、やや無理やりではあるが順位をつけたもらったところ、こうなった。
1位…マイクロソフト
2位…アップル
3位…アルファベット(グーグル)
4位…アマゾン・ドット・コム
5位…メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)
もみあげさんのお気に入りはマイクロソフトとアップルだ。
「いずれも、インターネット草創期のような株価の急騰は起こらないと思います。今から長期保有すれば、マイクロソフトやアップルはプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のような成熟企業になっていくはず。青年から大人になる時期に入ってきたのです」
P&Gは日用品の世界最大手。洗剤の「アリエール」や紙おむつの「パンパース」などが有名だ。P&Gは60年以上も増配を続けている。この10年で配当は約1.5倍、株価は約1.8倍に。
米国は株主を大事にする姿勢が日本より強い。そこで配当利回りが高かったり、増配を続けている企業を狙う手もある。ただ、高配当株や連続増配株に関して、もみあげさんは注意喚起をした。
「高配当株そのものを否定しませんが、値上がり益も狙って高配当株を買いに行くのは、意外に危険です。連続増配企業にも配当が減るリスクはあります。いずれも成長期待は薄れてきている、と理解したうえで投資してください」
ここから先は、もみあげさんが名前を挙げた順にGAFAM5社を個別解説していく。
マイクロソフトは
クラウド事業が絶好調
マイクロソフトの時価総額は約1.9兆ドル(約267兆円)でアップルに次いで米国市場2位。世界のIT化を先導してきた立役者で、産業史に残る企業だ。
もみあげさんの評価ポイントはクラウドの急成長である。
「企業の間では、データセキュリティーや災害などトラブル発生時の業務継続の重要性が認識され、クラウド需要が高まっています」