米国では2023年から自社株買いに1%課税されることが決まった。これも自社株買いによる株主還元を推進するアップルにとって不透明要因だという。
自社株買いは企業が自社の株式を買うもので、市場に出回る株式が減る。仮に出回る株式が半分になれば1株当たりの利益や資産は2倍になり、株価を押し上げる効果は絶大だ。現金を払ったらおしまいの配当より、自社株買いを重視する米国企業は少なくない。
「自社株買いに積極的だったアップル、アルファベット、マイクロソフトなどに自社株買いの1%課税がどう影響するか、見守りたい」
アップルは2021年度に145億ドルの配当を払った。自社株買いの金額は配当の6倍近い859億ドル(約12兆円)だった。
アルファベットは
稼ぎ頭の広告が減速
2004年に上場したグーグルが、事業再編で2015年に新設したアルファベットの傘下に入った形だが、「要するにグーグル」と思えばいい。
世界首位を独走するネット検索サービスを主軸に、ユーチューブやスマホOS(基本ソフトウェア)のアンドロイドもアルファベットの事業だ。検索連動の広告事業からの収益が大きい。
もみあげさんは「2022年4~6月期決算でインターネット広告が減速したのが残念でした」と話す。グーグルの成長の源は広告事業。その広告事業が前年同期比2%増にとどまり、グループ全体の営業利益率は一時の30%超から28%に低下している。
広告というものは景気に左右されやすい。景気悪化局面にも強いクラウドで稼ぐ企業より、ややリスクが大きい。
「アルファベットはクラウド事業の育成にも取り組んでいます。広告事業の減速も、20年先まで影響するものとは考えていません。ネット検索のシェアは圧倒的ですし、潜在的に株価が跳ね上がる可能性が最も大きいのはアルファベットだと思っているくらいです」
4~6月期決算をもう少し深堀りすると、観光や小売業の回復が売上高を前年同期比13%増の696億ドルに押し上げていた。でも純利益は14%減の160億ドルにとどまり、市場予想までは届かなかった。ただ、広告のネット移行の流れは今後も続くとみられ、投資家の期待もしぼんではいない。
ところで、アルファベットは株主総会での議決権のある「クラスA」株と議決権のない「クラスC」株の2種類が上場している。時価総額は2022年9月2日現在でC株がA株をやや上回り、両者を合計すると1.4兆ドル(約200兆円)。電気自動車のテスラ(約120兆円)を超え、アマゾン・ドット・コム(約181兆円)も抜いた。
「日本人が買うのにクラスAとクラスCで差はほぼありません。ティッカーコードはAがGOOGL、CがGOOG。グーグルを連想しやすいので、Aでしょうか」