心理職初の国家資格となった公認心理師。2018年に第1回の試験が実施され、これまでの合格者は4万3720人。コロナ禍などでストレスや不安を感じる人が増える中、その役割が期待されている。アエラムック『大学院・通信制大学2022』では、どのような仕事なのか、臨床心理士との違い、さらに資格を得るための方法や大学院の選び方などについて取材した。
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国家資格である公認心理師。公認心理師法で定められた業務は、クライエント(依頼人)の心理テストをしたり、学校の生徒や保護者に対するカウンセリング(スクールカウンセラー)、障害児の療育、企業で働く従業員のメンタルヘルス支援、さらに地震など災害に遭った人への心理支援など、多くの場所での活躍が期待されている。
心理職といえば1988年に誕生した臨床心理士(民間資格)が知られている。この臨床心理士の仕事と公認心理師の仕事の内容及び活動領域はほぼ同じだ。
ただし、公認心理師では法律(公認心理師法)の中で「多職種で連携すること」が義務として、強調されている。これについて立正大学心理学部の徳丸享准教授は次のように話す。
「例えば医療機関で働く公認心理師であれば、医師や看護師、薬剤師などと協働してクライエントを支援していくイメージです。相談室での1対1のカウンセリングだけでなく、多くの職種の人たちと一緒に仕事に取り組むことが求められています」
臨床心理士と公認心理師の養成期間は大きく異なる。臨床心理士は指定された大学院修士課程で2年間学ぶことで、受験資格が得られる。
これに対して公認心理師は指定された学部で4年間学んだ後、公認心理師のカリキュラムのある大学院修士課程で2年間履修する「6年教育」が基本となる(大学卒後に指定された施設で2年以上の実務経験を積む、というルートもある)。その後、公認心理師試験を受け、合格して資格取得となる。
ただし、臨床心理士などを含む心理職の現任者向けに一定期間の特例措置があり、基準を満たしていれば、受験資格が与えられる。