東京五輪で池江の泳ぎが日本だけでなく、世界からも注目されているが、過度な負担をかけるのは禁物だ。東京五輪開催に反対の声が多い中、西村康稔経済再生担当相が5月のNHKの討論番組「日曜討論」に出演した際、「国民の皆さん、様々なお気持ちを持っておられると思います。感染が広がるのではないかという不安の声もあると思いますし、一方で池江璃花子さんのああいう本当に頑張っておられる姿を見て活躍をする場面を見たい、マラソンも見たいと思っている方もおられると思います」と池江の名を挙げた。

「五輪開催の賛否で池江さんの名前を出すのはおかしい」、「アスリートの名前を出すのは卑怯。政治利用と誤解されても仕方ない」と批判の声がSNSやネットで殺到した。水泳の大会関係者はこう漏らす。

「五輪が開催されればお祭り騒ぎになり、瀬戸大也、大橋悠依(ゆい)を筆頭に金メダル獲得を期待する声が高まると思いますが、池江には重圧を掛けないで欲しい。マスコミがメダル、メダルと煽ることで、心身に大きな負担がかかることは避けたい。東京五輪のレースに出られること自体が奇跡ですから」

 もちろん勝負事だけに、池江は頂点を狙うだろう。ただメダルを逃したら、失敗では決してない。レースを思い切り楽しんでほしい。(牧忠則)