ジュースを飲みたいときの「頼み方」をめぐっても、日米のしつけのこだわりポイントは違う(写真/gettyimages)
ジュースを飲みたいときの「頼み方」をめぐっても、日米のしつけのこだわりポイントは違う(写真/gettyimages)
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 子どもって、どうしてあんなに忘れっぽいのでしょう。何回同じことを注意しても、すぐ忘れます。「おしゃべりはやること全部やってから」「8時30分に出るって言ったでしょ」「手が止まってるよ」……もう、今朝も何回同じセリフを繰り返したか。口うるさい親にはなりたくないんですが、つい10秒前に注意したことを忘れ、出かける支度をほっぽり出しておしゃべりに興じている子の姿を見ると、つい口が出てしまいます。

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 幼稚園に出発するまでの数十分でもこうなので、もっと長期的な注意事項になるといとも簡単に忘れ去られます。「靴のまま玄関に上がらない」「脱いだ靴は揃えて」「ご飯茶碗には左手を添えて」なんて、日本人の親なら生涯で浜の真砂くらいの数を口にするのでは? こんなに口酸っぱく言い聞かせているのによくもまあ毎回忘れることができるよな、と子どもの忘却力に感心してしまうくらいです。

 さて、もちろんアメリカの子どもも忘却力では負けていません。そしてアメリカの親が呼吸困難に陥るくらい何度も口にするセリフはなんだろうと考えてみると、やはりこれじゃないかと思うのです。

「pleaseを忘れてるよ!」

 アメリカでは、頼み事をするときは必ず“please”を付けるよう、子どもに厳しく教えます。たとえばオレンジジュースが欲しいとき。「のどかわいた(I’m thirsty.)」だけではもってのほか、「オレンジジュースほしい(I want some orange juice.)」でもダメ、「オレンジジュースもらえる?(Can I have some orange juice?)」でも不十分、そこに“please”を付けてようやく合格となります。

子「オレンジジュースもらえる?(Can I have some orange juice?)」
親「なんですって?(What did you say?)」
子「オレンジジュース欲しいんだけど(I said I want some orange juice.)」
親「そういう言い方じゃないでしょ(That’s not how you ask.)」
子「オレンジジュースください(Can I have some orange juice, please?)」
親「よろしい(Okay.)」

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魔法の言葉を忘れてるよ!