ベルギーに勝利して喜ぶモロッコの選手。写真:AP/アフロ
ベルギーに勝利して喜ぶモロッコの選手。写真:AP/アフロ

 連日熱戦が繰り広げられているカタールW杯。過去の大会に比べて目立つのが、欧州や南米の強豪国が敗れる番狂わせの試合が多いことだ。

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 日本がグループリーグ初戦で、優勝4度のドイツに2-1で逆転勝利を飾った試合が象徴的だった。前半に1点を先制されたが、森保一監督が途中交代でアタッカーを次々の投入した采配が的中し、試合をひっくり返した。サウジアラビアが2-1でアルゼンチンを撃破した試合も衝撃だった。第2戦のポーランド戦、第3戦のメキシコ戦に敗れて決勝トーナメント進出を逃したが、「W杯史上最大の番狂わせ」で爪痕を残した。また、モロッコも初戦で前回大会2位のクロアチアと引き分けると、第2戦でFIFAランキング2位のベルギーに2-0で快勝。W杯で24年ぶりの勝利を飾り、第3戦目のカナダ戦で引き分け以上の場合は決勝トーナメント進出が決まる。

 波乱はこれで終わらない。チュニジアが第3戦目で前回王者のフランスに1-0で完封勝利を飾る大金星。0-0の後半12分にFWワフビ・ハズリドリブルで中央へ切り込み、左足を振り抜いてゴールを決めると、その後のフランスの猛攻をしのいで逃げ切った。チュニジアは格上のデンマークにも引き分けている。同国初の決勝トーナメント進出は叶わなかったが、胸を張れる戦いぶりだった。

 今大会で番狂わせの試合が相次ぐのは、なぜだろうか。スポーツ雑誌の編集者はこう分析する。

「日本代表は大半の選手たち欧州クラブでプレーしているため、相手の技量が分かっている。クラブで経験を積んでいるため、物怖じせずに戦っていることが大きい。モロッコも多くの選手がフランス、イングランド、スペイン、イタリアのクラブでプレーしており、欧州や南米の強豪国に対するコンプレックスがない。欧州のクラブが多国籍化している中で、代表チームの実力差が縮まっているように感じます」

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