写真はイメージ(Getty Images)
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 お酒、競馬、ゲーム……軽い気晴らしで始めたら、いつの間にか止まらなくなっていた──そんな経験はないだろうか。依存症への入り口は身近な暮らしにもあふれている。人はなぜ依存症になってしまうのか、そのメカニズムや対処法を調べた。

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 アルコール摂取を巡り、悲惨な事件が起きてしまった。11月12日、横浜市内の自宅前の路上で、同居する息子(50)の頭をバールで殴り殺害したとして、無職の父親(78)が逮捕されたのだ。

 報道によれば、父親は日ごろから酒を飲んで暴言を吐いたり、壁を殴ったりする息子に対し、「このままでは、私たち夫婦の命が危ないと思った」と供述。親子げんかの末、凶器に手を伸ばしてしまったのだという。

 80代の親が50代になっても引きこもる子どもの面倒を見る「8050問題」を想起させるこの事件。もう一つの要素は「酒」だ。父親は調べに対し「息子の飲酒に長年、悩まされていた」と話しているという。このように、時に、人生を破壊してしまうのが酒の怖さだ。

 厚生労働省が2021年にまとめた統計によると、現在、アルコール依存症の患者は26万人。依存症が疑われる人は18年時点で約303万人にのぼる。中高年は特に注意が必要なようだ。厚労省の「国民健康・栄養調査」(2019年)によると、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合は、男性では20代が6.4%、30代が13.0%と年齢を重ねるにしたがい上がっていき、40~60代は軒並み20%前後とずっと高い状態が続く。女性も20代の5.3%から次第に上がっていき、ピークの50代では16.8%となっていた。

 アルコールに限らず、依存症にはさまざまなかたちがある。大きく分けて物質依存症と行為依存症の二つがあり、前者はアルコール、カフェイン、違法薬物、鎮静薬、睡眠薬などへの依存。後者はギャンブルやゲーム、買い物、食事などへの依存があげられる。

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