セブンズではキックでボールを手放すことが少なく、このため、攻撃側に回ってボールを持った時に確実に得点することが重要になる。それだけに、特に重要な起点がキックオフ。15人制度では得点が入った後、防御側のキックで試合を再開するが、セブンズでは逆。数少ないセブンズの特別ルールだ。失点したチームが直後のキックオフでボールを確保できなければ一方的な展開となってしまう。

 接触プレーが少ないために当初は日本向きと言われていたが、さにあらず。1対1の攻防で確実に前進を止めるために低い位置にタックルに入ると、上背があり、懐が深い外国人選手にはボールを繋がれる。一人ひとりが守る範囲が広く、体格で勝る相手に弾かれると、あとは独走されることになってしまう。

 そんなセブンズで、日本はリオで4位に入っている。銅メダルを争った3位決定戦で南アフリカに敗れたものの、これはワールドカップでの8強入りを上回る、シニアの世界大会での日本ラグビー最高成績だ。

 しかし、日本はその後、低迷を続けている。格上のチームに散発的に勝つことはあっても、国際大会での成績は低調だ。2018年のワールドカップは24チーム中15位。ワールドラグビーが主催するセブンズの国際サーキット、HSBCワールドシリーズでも全大会に出場するコアチームから降格している。

 今回のオリンピック代表のキャプテンを務める松井千士(キヤノンイーグルス)は藤田慶和(パナソニック ワイルドナイツ)とともに5年前はバックアップメンバーとして観客席から日本の躍進を見つめる悲哀を味わった。副キャプテンの本村直樹(ホンダヒート)もオリンピック初出場となる。

 一方、羽野一志(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)と彦坂匡克(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)、合谷和弘 (クボタスピアーズ)はリオ組。ラグビー王国フィジー出身のトゥキリロテ(近鉄ライナーズ)と副島 亀里ララボウラティアナラ(コカ・コーラレッドスパークス)もリオに続いての出場で、セブンズ日本代表としての試合経験はチーム内で一、二の多さを誇る。ボークコリン雷神(リコーブラックラムズ)はニュージーランド、ヘンリーブラッキン(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)はオーストラリアと共に強豪国のセブンズ代表経験者だ。

 石田吉平(明治大学)は唯一の大学生選手。加納遼大(明治安田生命ホーリーズ)はトップリーグよりも2ランク下となるトップイーストのチームから選出された。

 リオの時のキャプテンだった桑水流裕策は空中戦で長く唯一無二の存在だった。この点で、チーム最長身196センチのフィジー出身、セルジョセ(近鉄ライナーズ)の存在は頼もしい。

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